いつも朝が来るのが嫌だった。
毎朝鏡を見るとその思いが一層強くなる。
いつ見ても自分の容姿が変わる事はない。
それでも昨日より今日は綺麗になってるかもしれない・・・と、昔は本気でそんな事を思っていた。
その結果が、毎朝鏡を覗くという今では苦痛にもなっている癖…。
ハッキリ言って・・・自分の顔は・・・かわいくないと思う
いや、『思う』じゃなくてそうなのだ。
そして自分の名前も・・・大嫌い。
美麗・・・。
どうして親はこんなふざけた名前を付けたんだろう・・・。
そうして私はますます憂鬱になる。
ベットからもそもそと出て、時計を見ると11時を少し過ぎたところだった。
そろそろ友達が来る頃だと思い、急いで支度する。
と同時に、チャイムが鳴った。
急いで玄関に向かうと、やはり友達がそこには立っている。
「おはよ・・・もしかしてさっき起きたばっかりとか・・・っていうのはナシね」
私が何も言えずに、黙っていると彼女はそのまま話しを続けた。
「で、準備した?」
「うん・・・一応は」
「んじゃ早速手をつけようか・・・私、今月休み後二日しかないから早く仕上げたいんだ」
彼女が言ってるのは同人誌の締め切りの事。
いつもはお互い個人で同人活動をしているのだが、今度のイベントで合同の作品を作りたいからと、
彼女に誘われたのだ。
「あ、そういえば、昨日瑶子に会ったよ」
「そうなの?どこで?」
「私の会社の近く。なんか瑶子の職場もその辺なんだって」
「ふ〜ん・・・そうなんだ」
瑶子は私と彼女、佳代と一緒の高校で、同じクラスの友達だった。
恥ずかしい話、私は今現在無職。
友達が会社や職場の話をすると、自分が取り残されてるような感じなるので、それ以上会話は続けない。
私は話題を変える事にした。
「あ、ねぇ・・佳代〜」
「ん?どうかした?」
私の言葉に手を休める事なく、声だけで彼女は返事をする。
「この本何かの資料?ゲーム雑誌とか・・・珍しいね」
「あ。それね・・・今度の本にゲーム関係のキャラも入れようかと思ってさ〜」
「そうなんだ」
その雑誌に興味があったが、今読むわけにもいかないと思い。
急いで私は作業を始めた。