いびつな果実 ・3


よくよく読んでみると、ネット恋愛とはさほど珍しい事ではないようだ。
同じ趣味同士、少し気が合うとつきあう方向に行く事は全然おかしくないように思える。
その記事の内容は、オンラインゲームが縁でつきあったり結婚までした・・・
という事がインタビュー形式で書かれていた。
専門用語のようなものもあったりしてよくはわからなかったが、
ただ、そんな事はどうでもよく、私の気持ちをひきつけてやまない事だけは確かだった。
これなら・・・私にも出会いがあるかも知れない。
これなら・・・恋愛対象として見てもらえるかもしれない。
そんな考えが頭の中をぐるぐると回りだす。

今まで彼氏を作らなかったわけじゃない・・・作れなかったっていうのが本音。
でも、もしかしたら・・・私にだって・・・その可能性はあるはず。
そう思うといてもたってもいられなくなり、そのゲームの為にパソコンを買おうと決心した
幸い、家は裕福な方だし・・・父親は私に甘い。
反対されるわけ絶対にない。

翌朝、そのお願いをしてみるとあっさりO.Kが出た。
父親がその手配までしてくれるらしく、明日には届くということだ。
それまでに私は、オンラインゲームについて情報を得るため、その雑誌をもう一度真剣に読みふける。
どうやら、ネット上でダウンロードというものをして、それでお金を払う・・・ってものらしい。
なんだかよくわからないけど・・・始めてしまえばきっと・・・大丈夫。
後は・・・なんのゲームをするかだけど・・・
そこに書いてある一覧の中から、人の多そうなゲームをピックアップして選ぶ事にした。
人が多い分、出会いもたくさんあるはず・・・
私だって・・・きっと出会いさえあれば・・・
そんな事を考えてるうちに、想像が大きくなって、もう彼氏ができた所まで妄想は果てしなく続く。
なんだかそれだけで恋愛している錯覚に陥って、
一人でにやにやしながら、メモをとる。

結果、自分の好みのキャラが作れる一つのオンラインゲームに行きあたった。
私の好きな絵柄の萌えキャラ・・・
これだったら、一層ゲームが楽しくなりそう。
『ジャスティス・オンライン』・・・それが私の気にいったゲーム名。
早速、そのゲームについての記事を読み漁り始めた。


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